“ツンデレ”ワンセグテレビ?
MIA
- Date
- 2007-01-31 (水)
- Category
- ツンデレ
ツンデレワンセグテレビ
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070123/toyf2.htm
というものが出るそうな。
単に乱暴な言葉遣いのナビゲーションボイスが入っているテレビ・・・というわけではなく、使い込むと、徐々にデレデレしたセリフに変わっていく世界初の製品、だそうである。
確かにツンデレには、段階的にツン→デレに移行する期間(いわゆるギャップの形成期間)が必要とされており、定義的に見れば、なかなかよく考えられている製品といえる。
が、どうも釈然としない。なにか不愉快でさえある。
なんというか、ツンデレ喫茶などに感じるものと同じ違和感を感じてしまう。
「自称ツンデレにツンデレなし」
そもそもツンデレとは、相克する感情から生じた行き違いのドラマを、一つの属性として捉えたものである。
これは様々な人間模様を背景にして自然に発生するものであり、決して意図的に作られるものではない。
なので、ツンデレは作為的であってはいけないし、そう感じさせてはいけない。自らツンデレを吹聴するなど、もってのほかである。
簡単な例で言うと、
A「私ってばツンデレだから~」
B「私、ツンデレなんかじゃないんだから」
さて、どちらがよりツンデレ的であるか。一目瞭然であろう。
ツンデレは他人からそう認識されて初めてツンデレたりえるのであり、ツンデレを自称するということは一種の自己否定ともなりかねない。
なので「ブームだからツンデレキャラになろう」とか「ツンデレを商売にしよう」などというのは本末転倒であり、その時点でツンデレのあり方とはずれているとも考えられる。
「ツンデレなんだから、ここはこうしないと・・・」などと自己認識できているツンデレなどはありえないのだから、「ツンデレ」をウリとしてアピールした時点で既に破綻してしまっているのである。
超強力ツンデレマシーン
前振りが長くなったが、つまり「ツンデレであるためには、ツンデレであろうとしてはならない」ということである。
ツンデレならば、自らがツンデレであることに対しても、ツンデレでなくてはいけない。
なので、自らの存在目的が明確であり、矛盾なく動作することを期待される「機械」や「プログラム」において、自己矛盾の権化たるツンデレを実装するというのは非常に難しい。
例えるなら「1であるが、かつ0である状態を人工的に実現しろ」といっているようなものである。そんなのは量子コンピュータでも持ってこない限り実現不可能とされている。
(そういった点では量子力学とツンデレは密接な関係にあるのだが、長くなるので別の機会に譲ろう)
では、プログラムや機械的にツンデレはありえないのか。
・・・というと一概にそうともいえない。
機械というものは、つまるところアナログな現象をデジタルな代替手段でシミュレートしたものであり、外からそう見えてさえいれば合格である。
例えば、非常に精巧な動作により、あたかもアナログで制御されているように見えるデジタル時計は、もはやアナログ時計として扱われても問題ない。
いわゆるチューリングテストというやつで、観測者が判断できないほど両者が同じように振舞えるのであれば、その作りがどうなっているかは問題ではないのである。
なので、ツンデレマシーンは、それが機械であるという属性が故に、外からツンデレであるように見えればその存在が許される。機械とはそのようなものだからである。
では、具体的にはどのようであればよいのか。
それは、もちろん欲求と行動にギャップが存在しているように見えるよう、振舞えば良いのである。
ユーザのために尽くそうとは思っているが、その動作が素直ではないように見える機械を作ればよい。
例えば機械にも願望はあると考えることはできる。
こうして欲しい、こうなっているべきだ、という欲求のようなものは定義できるだろう。バッテリーがなくなれば充電してほしいであろうし、発熱すれば冷却されるべきだ。
だから、通常の機械であれば、バッテリーがなくなれば「充電してください」と表示されるし、そうなることが当然の機能設計とされる。
しかし、ツンデレ的なマシンでは、それを素直に設計し動作させてはいけない。なぜならツンデレだから。
例えばツンデレ自動車などが存在するのであれば、
ユーザ:「なんか水温計めっちゃ上がってるけど大丈夫かな」
ツンデレ:「これくらいの温度、なんでもないです。まだまだ走れるんだからっ」
ぶしゅー
ユーザ:「なんかドア開きっぱなしなんだけど大丈夫?」
ツンデレ:「ドアなんて飾りですっ!危険がどうとか、男だったらごちゃごちゃいわないっ」
どかーん
これである。
ツンデレであることを真に利用者に認識させようと思うならば、本来機械が持っている正統な役割・機能をそのまま表現せず、むしろ普通ではありえない逆のことをするべきなのだ。
それが意図的に設計されたものでると思わせないほどに完膚なく。
だから、ツンデレワンセグチューナーテレビは
バッテリーがへたっても、「私、ま、まだまだがんばれるんだからっ」と言ってバッテリー切れを起こし、
電源が異常加熱しても「これくらいなんともないんだからっ」とって破裂火災を起こし、
電波状況が悪くても、「大丈夫、録画できるんだからっ」といって録画に失敗する
といった不良動作が必須になるのである。
・・・・な、なるのではないだろうか。
ただ、これは普通に製品として見た場合、ユーザにとって不便ではある。はっきり言って、欠陥商品だ。
残念ながら、売れないだろう。
だがちょっと待って欲しい。
ツンデレとは、元来、不条理であり非効率な関係である。
ユーザは、例え迷惑をかけられようとも、実は自分のために尽くそうとしているのだという不器用な心意気の中に「デレ」を見い出し、それに心を動かされるのだ。
そして、メーカーは「ははは、やっぱ、大赤字かっ。この親不孝ものめっ」と、自分の思惑通りにならない出来の悪い子供に対して罵りながらも、売れ筋商品以上の愛着を抱くのだ。
本当にツンデレを謳う機械を作ろうと思うなら、それこそ、PL法に違反するぐらいのじゃじゃ馬製品を出し、
「すごく使いにくいけど、ツンデレ好きというなら使いこなして見れっ!娘の責任は俺が取る!」という位の挑戦的・自滅的気概が必要なのである。
でないと、それが「作られたツンデレ」である匂いを消すことなど出来はしない。ツンデレを利益に換えようとしている意図など欠片も見せてはならないのだ・・・。
・・・ああ、儲けるための商売であるはずが、決して儲けてはならないなんて、なんという矛盾。
それなんてツンデレ?
本当にツンデレなのは、チューナや喫茶なのではなく、それを商売にしようとしている方々なのかもしれない。
テラモエス。
それにしても、ツンデレ道のなんと険しいことか。
だからこそ、ツンデレは尊く、愛おしい。
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